何でも見てやろうというバイタリティーに驚く
旅を柱に中世の江戸人が生き生きと描かれている。
こういう本を読むと、人間の行動心理というのは今も昔もそんなに変わらないのだなあと思った。
しかし、人間の移動がかなり制限されていた時代だから、旅は命がけだし、もう一度そこにいけるとは限らない。
昔の江戸の人の世界観や死生観も見て取れた。
何でも見てやろうというバイタリティーに驚く。
江戸時代の庶民恐るべし
帯に書いてあるとおりこの本を読めば日本人がなぜ団体旅行好きか、 なぜ知り合いにおみやげを買い込むか、なぜ宴会好きかがわかります。 当時、5両あれば家族が一年暮らせたのに1.5両使ってほぼ日本人全員が 一生に一回は一ヶ月近いお伊勢参りをしたという事実にまず驚かされます。 私もどうしても虐げられた江戸時代の庶民というのが頭に浮かぶのですが この本を読むと全然違うしたたかで人生を楽しんでいる庶民の姿に修正してくれます。 日本人は昔から本当に旅好き、酒好き、風呂好き、女好きだったんだなあと なんかニヤリとさせてくれる本です。ご一読をお勧めします。
江戸の「旅文化」について書いています
実は私は少し違う内容を期待してこの本を読みました。 私は江戸の旅「文化」でした。旅…お蔭参りや講、遊女などの裏側に隠された文化人類学的背景や政治的背景などを 詳しく追った本だと思い、この本を読みました。 ただ、実際に読むと、本当に「江戸の旅文化」そのものだけを追っていった本だったとわかりました。「旅の文化研究所」所長さんだそうで、まあそりゃそうか、と思いました…。 完全に「旅」というものに焦点を当て、講や湯治などの費用、旅籠での献立、土産、旅の形態などを詳細に追っていきます。 また、現在の「旅」との関連などにも触れていきます。ここはあくまで深い裏づけは示されませんが興味深い洞察です。 提示される史料は講や伊勢参りについて描かれた図会から当時出版された旅のハウツー本、十返舎一九の小説など、広範に及び、 著者の興味溢れる研究が垣間見られます。 少しだけ気になったのは、絵図の史料に触れている箇所が多いのですが、肝心の絵図が載っていなかったり、 また、初めて見るような熟語などが多々ありますがルビがふられていなかったり、という配慮不足がある点です。 沢山の史料を提示し、かなり旅について細かく広く述べられていて、非常に面白いですが、第二章の「旅を広めた社会の構造」 については、政治や村の組織、日常生活など、もう少し深く掘り下げてもよかったかな、とも思いました。
私も伊勢の御師の供応にあずかりたい
私の想像以上に、江戸時代に庶民はたくさん旅をしたらしい。そのことを受け入れ側としての宿屋や、御師(おし、おんし)の側の状況から描く。 特に御師というのが、神職から転じた総合旅行業で、自宅(といっても大きなものだが)で神楽奉納までやっていたというのが私にとってはあらたな認識。 講を組んだ庶民が、伊勢の御師をめざして旅をし、御師の館で供応(二の膳付き)を受けるとともに神楽の奉納までする。その費用は数十両、江戸中期では御師の数600から700家というのだから、江戸期の旅行は相当に盛んだったと思わざるを得ない。本書はその他に、善光寺や厳島、湯治の旅、みやげものの起源などにも触れる。 御師による斡旋旅行の方法が、現代の我々の旅のイメージにも強く影響していると思われるあたりが特に興味深い。
岩波書店
伊勢詣と江戸の旅 (文春新書) 江戸庶民の旅―旅のかたち・関所と女 (平凡社新書) 江戸の旅人―大名から逃亡者まで30人の旅 (集英社文庫) 絵図に見る伊勢参り 江戸の宿―三都・街道宿泊事情 (平凡社新書)
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